星新一「ご依頼の件」

ご依頼の件 (新潮文庫)

ご依頼の件 (新潮文庫)

今日読み終わった本。
ユーモアと風刺にとんだSFショートショート40編を収録。
殺し屋やストレス解消薬や亡霊や何者でもないやつなどが登場する。
昨年末から同著者の本をずいぶん読んでいるので、ちょっとお腹いっぱいな感じになってきた。せっかくおもしろいものを存分に楽しめなくなったら勿体無いので、これからしばらくは読まないでおこうと思った。
一番印象に残ったのは、あとがき。ショートショートのタイトルでなく、本当のあとがき。
以下同書あとがき冒頭より引用。

これから私の文庫は、解説なしになる。考えてみれば、小説を解説つきで読むなど、やはり不自然だ。むかし、映画館のとなりの席で、いちいち説明する友人がいて、うんざりしたことがある。

小説の巻末解説のすべてではないけれど、「うるさいな〜」と思う解説がたまにある。この文を読んで、まったくそのとおりだと思った。
こんなところだけ引用してしまったが、このあとがきの主旨は小説の解説を否定することでなく、自分のことを良く知ってくれていて、好ましいエピソードを交えて解説を書いてもらえる人が、もう一巡してしまっていなくなったよ、ということなので、誤解のなきよう。
あとがきの締めくくりも素敵。以下また引用。

「読んで、話がわかり、面白いと感じていただけましたか」
エスの割合の多い気分でしたら、もうそれだけで私は満足です。