金賢姫「いま、女として(下)」

いま、女として―金賢姫全告白〈下〉 (文春文庫)

いま、女として―金賢姫全告白〈下〉 (文春文庫)

今日読み終わった本。
下巻は、彼女の子供時代から工作員として任務を行うようになるまでと、韓国での判決後の生活が中心に綴られている。
韓国に来て、その豊かさに驚いたという彼女だが、向こうでは平壌に住み、裕福な部類に入る家庭で育ち、中央に招かれてからは特別な待遇を受けている。それでも、圧倒的な貧富の差を感じたというのだから、地方の一般の国民はどんな暮らしを強いられているのか。この本が出てから十年以上経つ。より悪くなっているだろう。
「北」に生まれず、美人でも育ちも良くなかったら、こんな運命ではなかったに違いなく、若くして150人もの命を奪うことになってしまった彼女の苦しみはこれからも一生続くのだろうが、こうやって本を出版したり、講演活動をしたりして、前向きに罪を償っていこうとする姿には感動した。
あと、単純に読みやすくていい本だと思った。興味本位でおもしろく読めてしまう。そして読み終わった後に深い感慨が残る。