牧阿佐美バレヱ団「リーズの結婚」

会場:ゆうぽうと簡易保険ホール SS席 1階17列下手側
演出&振付:サー・フレデリック・アシュトン
原作:ジャン・ドーヴェルバル
音楽:フェルディナン・エロール
脚色&編曲:ジョン・ランチベリー
指揮:堤 俊作
管弦楽:ロイヤルメトロポリタン管弦楽団
主な出演者:
<リーズ> 橘 るみ
<コーラス>菊地 研
シモーヌ>保坂アントン慶
<トーマス>本多実男
<アラン> 清瀧千晴
<若いおんどり>中島哲也
<めんどりたち>森脇友有里、吉田浩子、塚田織絵、小松見帆
<木靴の踊り> 橋本尚美、吉岡まな美、笠井裕子、坂梨仁美
<リーズの友人達>奥田さやか、竹下陽子、青山李可、伊藤友季子(+木靴の4人)
<フルートボーイ>坂爪智来

牧阿佐美バレヱ団創立50周年記念「リーズの結婚〜ラ・フィーユ・マル・ガルデ〜」の二日目に行ってきました。昨日の一日目と迷ったのですが、菊地研さんがコーラス役ということでこちらに決めました。
物語は農村での恋物語。リーズとコーラスは恋人同士ですが、リーズの母親のシモーヌは、リーズを裕福なトーマスの息子、冴えないアランと結婚させようとします。けれどもリーズとコーラスは、偶然にもみんなの前で恋人同士であることさらすことになり、ついには母親もふたりの結婚を認める、というハッピーエンドなお話。
感動の公演でした。
本当に素晴らしかったです。
ここが良かったとか、あそこで感動したとか、抜き出して書くことがためらわれるほど、ひとつの公演としてとても楽しめました。
けれども、やっぱり書き出しておきます(笑)
橘るみさんのリーズがとても可愛らしい!細かな足の動きがいきいきとしていました。菊地さんのコーラスも良かったです。
保坂アントン慶さんのシモーヌ、コミカルな動きに笑っちゃいました。はまり役です。でも、以外にみんな静かに見ているので、私も心で笑いながら黙ってました。
清瀧千晴さんのアランも、同じくコミカルで、さらに情けない役なのですが、切なさも伝わってきました。
シーンでは、リーズとアランの友人たちが、踊りながらリボンを編んでゆくところ。あそこで、なんて舞台って素晴らしいんだろうと思って、ちょっとうるっときました。
なんだろう。そのシーンに来るまでの感動が、ここにきて涙腺に来たのかな。
このシーンがいいとか、今日の公演が良かったと言うだけじゃなくて、「舞台って素晴らしい」と思ってしまいました。
踊りながらリボンを編んでゆくという演出。他にも、恋人たちをリボンで繋いだり、木の枝を持って踊ったり、小道具がとても生かされた演目。バレエってこんなことも出来るんだっていう感動。バレエ、ひいては舞台芸術全体への感動。
それから、アランがリーズの部屋のドアを開けたら、リーズとコーラスが抱き合っていたときのアランの表情!さっきまでユーモアあふれた踊りをしていたアランのうなだれた表情に、強く悲しみが伝わってきて泣きそうになりました。
そしてその後、こちらもずっとおどけた様子で母親シモーヌをからかいながら、その目を盗んでコーラスと愛し合っていたリーズ。そのリーズが、真面目にシモーヌに向かって、「この人と結婚したいの」とコーラスをさして訴える様子は、ぐっときました。
そして本当のラストシーン、みんなが歌い踊りながら去った後、アランが赤い傘をこっそりとりに行くシーンは、再びアランのコミカルな演技が見られて、失恋して傷ついたままのアランの姿で終わらないところが、またハッピーで良かったです。
振付と演出が最高です。嵐のシーンも楽しくって良かったし。鶏の着ぐるみで踊るのも面白いし。書き出しきれないです。
是非次回の公演も観に行きたい!けれど今回は二年ぶりの公演だそうなので、次に観られるのはいつになるのかな?そんなにバレエを観たことの無い友人にも勧めたい舞台でした。
最近、経済的な事情で、パンフレットはあまり買わないのですが、今回は休憩時間に買いに行きました。この1500円が、この舞台を維持していくのに使われるのなら、喜んで払います。終演後は、寄付金出そうかとまで思いました。極端(笑)
日本のバレエをもっと保全して発展させたい。そのために、現在資金面で恵まれているとは思えません。この少ない公演日数で、収益がどれくらいあるのでしょうか。あるのか?
もっとこういう芸術を評価するべきだと思います。でも、大衆のものでないと資金も集まりませんよね。まずは大勢に認知してもらわないと。日本には、一度もバレエを観たことの無い人が大勢います。私もほんの少し前までそのひとりでした。
公演日程を調べて、高いチケット代を払って、わざわざ劇場に足を運ばないとバレエは観られません。観なければ、どんなにいいものも知らないままです。
でも、バレエに興味なければ、公演日程を調べようと思いませんよね?どうすればいいんだろう。
学校の授業で取り入れるとか?学校行事での芸術鑑賞会のようなものを、もっと増やすのもひとつの方法かもしれません。その為には、もっと国の補助が必要なんじゃないかな。