樋口有介「ぼくと、ぼくらの夏」

読み終わった人から譲り受けて、樋口有介著「ぼくと、ぼくらの夏」を読みました。
1988年にサントリーミステリー大賞読者賞を受賞した作品です。
それって20年前!
読んでいて、なんとなく違和感を覚えるところがあったのですが、途中で20年前の作品と気付き、当時はそうだったのかなと納得しようと思えば出来たり。
今こんな表現使ったらどうなの?という台詞が出てくるのも、当時は今ほど繊細に様々な人の心の痛みに敏感でなかったから書けたのかなーとか。
まあでも、小説の中の台詞というのは、作者の意見ではなく登場人物の意見ですからね。登場人物の性格を表した台詞だと言われればそれまで。
あと、やたら登場人物たちがタバコを吸うのも違和感。これも20年前は喫煙と健康に対する意識が今と違ったのかなと。それとも単にハードボイルドを目指してこうなっただけで、今もこういう作風の方なのかな。
高校生たちの夏というみずみずしさを感じる小説でした。
半身浴中の時間潰しになりました。

著者:樋口有介
出版社:文藝春秋
発行日:2007年5月10日 新装版