地震

3月11日。
時間で区切られた日常業務の、1日のピークを終えようとしていたところに、地震発生。
机の下に避難。続く揺れ。
落ち着いた声の車内アナウンスに従って、みんなヘルメットをかぶる。
長かった。
しばらくして揺れが収まっただろうと、そろそろと机の下から体を出す同僚たち。
私も椅子に座り、深呼吸。
こ、怖かったー。
ネットで地震速報を見る。震源地は東北?震度7
東京でこの揺れなのに震源がそんなに遠いなんて。一体現地はどうなっているんだろう。不安。
窓から電車が駅でもないのに止まっているのが見える。
余震。再び机の下にもぐる。また、長い。
荒い息遣いが聞こえて、向いに声を掛ける。大丈夫ですか?
机の下から出ても、ヘルメットはかぶったまま。ずっと揺れている。
電話は鳴らない。つながらないのか。普段電話が多い職場なので、妙に静か。
そのうち、ポツポツと内線が鳴るようになる。
この後どうなるかわからないから、今のうちにすべての仕事を終わらせようと日常業務に戻ろうとする。
すると大阪にある部署に確認し無ければならないことがあるとわかって、内線で連絡。かかった。
名乗ると、あ、少し驚いた声の後、大丈夫?と気遣ってくれる。
怖くて逃げだしたいとその人は言う。大阪も揺れたのか。阪神大震災のトラウマもあるのだろう。
仕事なんてしてる場合なの?と聞かれる。急にやる気がなくなる。
それでも最低限やるべきことをやる。大きな余震があるたびに声を上げたりしながら。
トイレに行ってきます!と宣言してみんな行く。携帯電話を持って。
窓の外を見に行ったりする。建物の外に避難している人たちが見える。人がいっぱい歩いている。煙のようなものが見える。電車は止まったまま。
ネットのニュースを見る。家族と連絡をとろうとする。
それくらいしかできることがない。気持ち的にも。
電話・FAXとも終業時間までつながらず。内線だけがつながる。
他ビルから安否の報告。仙台事務所からも全員無事とメールがきた。
危ないので建物の外に出ないようにというアナウンス。
電車が止まっているので、徒歩で帰れる人にしか帰宅許可が出ない。
しばらく会社にとどまったが、それでも私は帰ると上司に告げ、許可をもらい会社を出た。
4時間歩けば家に着くだろう。今なら今日中につける。電車はいつ動くかわからない。
大通りは人でいっぱい。ヘルメットを持っている人もいる。私も鞄の中に入れてきた。
車は渋滞。歩く方が早い。
こんな状況で一生懸命バスの時刻表を見ている若い女性がいた。気は確かか?!
途中、小さなコンビニに寄る。食料の棚がほぼからっぽ。サラリーマンらしき人がたくさん買い込んでいく。泊まるのだろう。
歩く歩く。途中駅のそばで、電車が動かないか確認。無理そうだ。また歩く。
メールが来る。私も送る。お互いの安否の確認と、励まし。mixiTwitterなどでも。
「トイレお使いください」手書きで書かれた紙が貼り出されたお店が続く。
マスクの無料配布。排気ガス対策?交通量の多い大通りだから?花粉か?
履きなれている靴なのに、痛い。そうだ、かかとのところが破けているなーと思っていたんだ。靴擦れ。この靴は不良品か?
途中スポーツドリンクを飲む。おなかは空かない。
夜道の一人歩きは気を付けてとネットを通じてメッセージが。
いや、そんな状態じゃないよ。ぞろぞろぞろぞろ歩いてるんだよ!大丈夫!
ひたすら歩き、あと1時間くらい歩けば家に着くかな?という地点まで来た。運動不足解消のためにここからは歩いて帰ったことがある。ほっとする。
近くに駅があるので、念のため寄ってみる。
すると…運転再開!
ホームに電車が入ってきたとき、周りから自然と小さな歓声が。
電車の中で帰りを待つ人に連絡をとる人たち。今はマナーモードなんて関係がない。
そして、無事帰宅。予想より早く着くことができた。
ほっとしたのもつかの間、テレビで被害を映し出した映像を見て、言葉を失う。
友人の両親が福島に住んでいる。大丈夫か友人に確認したいが、映像が恐ろしすぎて、メールできない。聞けない。
少しでも早く、少しでも多くの人が助かりますように。無事でありますように。

3月12日16時半現在、まだまだ東京でも体に感じる余震が続いている。