小川洋子「博士の愛した数式」

博士の愛した数式

博士の愛した数式

ずっと読みたい読みたいと思いながら、文庫になったら買おうと後回しにしていた本。やっと連休中に読んだ。(文庫化はまだみたい)
主人公の女性は、10歳の息子と二人暮らしで、家政婦の仕事をしている。ある日から、64歳の元数学教授の男性のもとへ仕事をしに行くことになる。彼は47歳のときに事故にあい、それ以来、記憶が80分しか持たない―。
博士の背広には、忘れてはならないことのメモ書きが、クリップでいっぱい留められている。
主人公は家へ行くたびに自己紹介をし、博士はそのたびに美しい数字の話をする。そして、主人公の息子を大切に慈しむ。
良い本でした。
優しくて幸せで悲しい小説。
博士の背広につけてある、一番大切なメモが切ない。
読者への想像の余地も残られていて、読み終わった後、博士とその兄、そして未亡人となってしまったお兄さんの奥様、この三人の間にあった物語を、ぼんやりと想像しました。
ひとり母屋に住んでいる未亡人。離れで暮らす博士。博士の事故のときの状況。
色々と考えてしまう。