アメリカン・バレエ・シアター「ドン・キホーテ」

会場:上野・東京文化会館大ホール B席 3階L1列 中央付近
演目:「ドン・キホーテ」プロローグ付、全3幕
音楽:ルードヴィヒ・ミンクス
原振付:アリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴールスキー
改訂振付:ケヴィン・マッケンジー/スーザン・ジョーンズ
指揮:デイヴィッド・ラマーシュ
演奏:東京フィル・ハーモニー交響楽団
主なキャスト:
 < キトリ > パロマ・ヘレーラ
 < バジル > フリオ・ボッカ
 <メルセデス> カルメン・コレーラ
 <エスパーダ> マルセロ・ゴメス
 <キューピッド>サラ・レーン
 <ジプシーの踊り>ルチアーナ・パリス/エルマン・コルネホ

夕方から夜にかけて、東京では台風7号が上陸か?という状況で、中止になったり開演時間が変更になったりしないかと、朝からジャパン・アーツのサイトをチェックしてみると、予定通り行われますとのメッセージが。
台風の影響か、平日の夜だからかなのか、3・4階のサイド席は空席のほうが多いくらい。それでも、フリオ・ボッカ最後の<バジル>ということで、会場が盛り上がっていました。キトリもバジルも技で魅せる!そして演技でも、狂言自殺シーンではかなり笑い声が起きていました。キトリほったからかしの色男ぶりも良かったです。けれどキトリとの恋の駆け引きというか、恋人同士の可愛らしいやりあいというか、そういう雰囲気にちょっとかけたような。どちらかといえばキトリが。
サラ・レーンのキューピッドは、素早い動きながら腕がしなやかで軽く、可愛らしくてちょっといたずら好きそうな雰囲気が、いかにもキューピッドという感じでとても良かったです!
そしてジプシーの踊りのエルマン・コルネホ!身のこなしが軽やか〜。もっとソロを見ていたかった。短い!と思ってしまいました。
と思ったら、翌日のマチネに代役でバジルを踊るようで、ものすごく行きたくなりました。が、マチネじゃ…。残念ですが、次の来日に期待します。
振り返ってみると見所たくさんだったのですが、なんだか全体的には私は盛り上がれなかったのでした。なんだろう。ダンサーの人数かな。指をならすところの地味さかな。演奏の間かな。エンターテイメント大得意なお国柄ということで、私が期待しすぎたせいかもしれません。
ストーリ構成は、広場で交際を反対された後に、キトリとバジルがジプシーの野営地に逃げ込み、それをドン・キホーテたちが追ってきて、風車を巨人だと思ったドン・キホーテが突撃して気絶。夢の中のシーンへ。目を覚ましたドン・キホーテ、キトリたちの追い手を迷わそうとするも、その後キトリとバジルは宿舎で見つかってしまい、狂言自殺。ドン・キホーテに説得されたキトリのお父さんがふたりの結婚を認め、第三幕の結婚式という流れでした。酒場での狂言自殺の後に夢のシーンになるより、ストーリーの流れが自然でこの方が好きです。狂言自殺の後に夢のシーンだと、どうも、クラシックバレエ的な見せ場を無理やり作った感が、出てしまう気がするのです。だってもう、結婚を認めてもらったところで、話としてはハッピーエンドでひと段落着いてしまうので。その先が長いっていうのが腑に落ちないのです。
カーテンコールでは、カラフルな紙テープに紙吹雪、そして「フリオ・ボッカ 最後のドン・キホーテ 感動をありがとう」みたいな事が書いてある(うろ覚え)垂れ幕が下りてきて、ボッカは覗き込んでメッセージを確認していました。花束もたくさん受け取っていて、見ていて感動してしまいました。
カーテンコールといえば、キトリのお父さんはキャラのまま出てきてくれたのに、ドン・キホーテは素でお辞儀をしていたのがちょっと残念でした。7/2の新国での、妄想の世界から抜けてないドン・キホーテのままのカーテンコールが、面白かったので。
ちなみに台風の影響は、私は少しも受けませんでした。会場に向かうときは、まあ、普通の雨。終演後は、なんと雨なぞ降っていませんでした。会場に「交通機関の混乱はありません」という内容の張り紙がしてあったので、安心して帰れてよかったです。