ハンブルク・バレエ「人魚姫」

会場:NHKホール C席 3階C8列 中央
演出・振付・舞台装置・照明・衣装:ジョン・ノイマイヤー
音楽:レーラ・アウエルバッハ
指揮:サイモン・ヒューウェット
テルミン:カロリーナ・エイク
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
キャスト:
< 詩 人 > イヴァン・ウルバン
<人魚姫/詩人の創造物> シルヴィア・アッツォーニ
エドヴァート/王子> カーステン・ユング
<ヘンリエッテ/王女> エレーヌ・ブシェ
<海の魔法使い> オットー・ブベニチェク
<魔法の影> ピーター・ディングル、マティアス・イアコニアンニ、ステファノ・バルミジアーノ

ジョン・ノイマイヤーの「人魚姫」を見てきました。日本初演
この公演は、民音創立45周年記念&ジョン・ノイマイヤー芸術監督就任35周年記念だそうです。
人魚姫といえば、大人から子どもまで、誰でも知っているようなアンデルセンの名作。特にストーリーの予習はしなくても大丈夫かなと思いましたが、一応ネットで検索してから行きました。
この人魚姫には、アンデルセン自身が詩人として登場。
親友の男性が、結婚してしまうということに嘆き悲しみ、その悲しみから生まれたのが人魚姫という設定だそうで。
えー?!衝撃の内容です。
しかしこれが事実に基づいた設定だそうで。そうだったんだ・・・。
幼い頃、子供心に、なんで人魚姫はあんな救いようもなく悲劇なのかと思ってましたが、そういうことだったのですね。自身の失恋を昇華させる為の物語。
会場で配られたキャスト表には、あらすじも載っています。なんて親切。
アンデルセン=詩人の友人の結婚式の場面から舞台は始まります。そして、アンデルセンの悲恋から生み出された人魚姫は、詩人の友人にそっくりな王子と出会い、彼を助け、海の魔法使いにより人間になります。けれども足には激痛。そして、広い海で生きてきた人魚姫は、狭い船内で閉所恐怖症に悩まされる。
そんな人魚姫と王女の仲を取り持とうと、影のようにあらわれる詩人。
詩人、人魚姫、王子、王女の4人の踊りが良かったです。パートナーが入れ替わり立ち代り。詩人の報われない想い。
王子と王女の結婚式、少しは人魚姫の思いも報われたかな?それでも王子は王女と結婚。
ラスト、人魚姫を生み出すことで、詩人は星空の中、想いを振り切り新しい世界へ踏み出そうとする。
そんな、悲劇だけではない、希望を感じさせる終わり方でした。
それにしても暗かった。
人魚姫がまだ王子と出会う前の海の中のシーンくらい、カラフルで明るい海底ファンタジーが見られるのかと思ったら、ずっと暗い色調。不気味な動き。
でも、考えてみればそうですよね。この人魚姫は、もともと詩人の悲しみから生まれているのですから。明るいわけ無い。
けれども、あまりにも人魚姫が暗く不気味なので、そりゃ振られるよ、と思ってしまいました・・・。
人魚姫や詩人はもちろん、黒子的な魔法の影の方たちの演技も良かったです。
変に日本的なのは、本物の日本人から見ると違和感ありまくりでしたが。
印象に残る舞台でした。